ドラゴンへの道
十五歳の時に難しかった、できなかったこと。
沢山あれど、三十を超えた今ならば簡単にできるわけで。
たとえば、煙草。昔は吸えなかったけれど、今は吸える。法律的に。
酒だって我慢すれば飲める。
嘘をつくときに、より現実的な嘘がつける。
知人の誘いを、より自然な理由で断れる。
十五歳の自分と喧嘩したら、多分勝てる。
……あれ、勝てるかな……いや、いくらなんでも勝てるだろ。相手は中学生だぞ。
「お前どこ中だよ。学校に言いつけるからな」って言えば多分あの時の自分はビビるはず。いける。大丈夫。勝てる。口で勝つ。悪口の引き出しはあのころに比べて相当増えた。最終的には「うるさい童貞!」って罵ってやる。
でも「社会的敗者」って言われたらこっちがノックダウンする。それだけは言うなよ。十五の俺。
孤独にも耐えられる。一人でも大丈夫。
あの頃も結構一人だったけど。
ほら、結構色んなことができるようになっているのだ。
つまり、あの時越せなかったゲームなんて、今なら余裕で越せるはずなわけで。
はずなわけなんだけれども。
ロマンシングサガ2なんてゲームがありまして、
中学生時代に熱心に遊んでいたゲームなんですが、
それを久しぶりにプレイしているわけなんですけれども、
これが、むずかしい……水龍が倒せない……。
十五の時に何回かクリアしたことある筈なんだけどね。
つまり今回越せなかったら、逆に今の俺がやばい。
退化してることになっちゃう。成長どころか後ろに下がってる。
まさか……こ う た い?
それだけは認められん。
レベル上げるぞ。地道にコツコツ。一歩ずつ進むのだ。
いつだって変わらないものはある。それは地道さである。