ドラマ『半沢直樹』が面白い理由を考えてみる
TBSドラマ『半沢直樹』が面白いのはもう言うまでも無いとして、
では何故面白いのか、僕なりに考えてみたところ、
『良いツラをした大人たちが面と向かってボロくそに罵り合う』
これに尽きるのではないかと思ったわけであります。
ここで言う「良いツラ」とは勿論、イケてるお顔のことではありません。
味のある顔と言うか、一癖も二癖もありそうと言うか、
どの人もどの人も、内側から「なんかの汁」が滲み出ているような面構え。
男優、女優問わず、新たな登場人物が出てくるたびに
「うわ、良い役者持ってきたな」と感嘆してしまいます。
「あっ、小林隆!」とか「うわ、イタミン!」とか。
イタミンと神戸、横に並ばないかなあ、とか。ドラマ『相棒』も、良いキャスティングをされていますね。
そして、そんな人物たちが顔を突き合わせて、怒涛のように罵り合うのだから、
これはどうやったって釘付けにされてしまうですよ。
・『摩天楼を夢見て』におけるアレック・ボールドウィンがエド・ハリスを罵るシーンでご飯三杯はいける!
・映画のジャンル分けは「ホラー」とか「恋愛」とかではなく「ものすごく人を罵倒してます」とか「大ガッカリ(中の人が凄くガッカリしている)」と言う風に分けたほうがいい!
などとやや危なっかしいことを言っていましたが、
その気持ちがようやく分かったような気がします。
半沢直樹やその周囲の人たちがボロッカスに罵られ、
物語の後半、彼らが一点攻勢してクッチャクチャに言い返す。
それこそ殴りつけるように徹底的に。
ゲームで言うところの「死体蹴り・死体撃ち」ならぬ「死体罵り」。
いやぁ、素晴らしいですねぇ。
勿論、ただ罵り合っているだけではなく、
やられたからやり返す、「倍返しだ!」というシロー・アマダ精神に則りつつ、
しかしちゃんと反撃の準備を整えてから罵り返しているわけですから、
僕らが半沢直樹の真似をしようとしても、
「うわコイツいきなりおっきな声出した!」
と思われてしまうのが関の山。
気をつけなければいけません。
でも、このドラマの流行によって、明日、明後日、あるいは一ヵ月後にでも、
憎き上司と鼻を擦り合わせながら「土下座して詫びて貰います!」と言い出す人々が増えるかもしれないと思ったら、
不謹慎ながら、それだけでもうワクワクしてしまうのです。
そんなわけで『半沢直樹』。今後も目が離せません。
とにかく展開が気になって仕方がありません。
最終回では何と言うんでしょう。倍返し、十倍返しどころじゃない筈です。
「俺は半沢直樹じゃない。全沢直樹だッ!」
そして銀行は爆発する。
廃墟と化した銀行の前に彼が立ち、その足元に、ビルを支えてきた数々の部品(ネジなど)が転がり、
それを摘み上げようとしたところで幕。
いけるやん!