アダムスキーだなんだと
ベビーカーを押している若い奥さんが、夜空の一角を指して
「あ! UFO!」
と叫んだ。
少し後ろを歩いていた旦那らしき男性が
「え?」
と夜空を見上げる。
僕も見上げる。
遠くの空には、どう見ても航空機にしか思えないような、
直線的な動きをする光体。
少し光り、そして消える。
それを繰り返している。
「ほら、あそこ! UFO!」
奥さんは叫んでいる。
旦那さんは、何も言わない。
「あ、消えた!」
光体は建物の影に隠れただけだけれど、
UFOだと思い込んでいる奥さんには、消えたように思えたのだろう。
現に、光体はまだある。
僕は思わず吹き出してしまった。
素敵だなあ。
僕のところにも、UFO、来ないかな。